クローバーナイト【辻村深月】
- 2023/07/27
- 12:53
辻村深月のクローバーナイトを読みました。裕と志保の夫婦そして四歳の莉枝未、二歳の琉大の四人家族の物語でした。裕は小さな公認会計事務所に勤務、志保は子供用の肌着メーカーを立ち上げて三年目、忙しいながらも二人で子育てを続けています。そんな二人が見聞きする保育園や幼稚園でのママ友トラブルがミステリー仕立てで語られていきます。そして最後の短編では志保とその母親の葛藤が描かれています。子育てもいろいろ大変だ...
罪人の選択【貴志祐介】
- 2023/07/20
- 15:55
貴志祐介の罪人の選択を読みました。発表時期の異なる4つの短編が収録されています。SFが3編、ミステリが1編でした。デビュー前に書かれたという夜の記憶は2つの物語が並行して語られるSFで、全く関連がないような2つの物語が最後につながります。呪文と赤い雨もディストピアな未来に一筋の希望を描くSFでした。貴志祐介というとミステリ作家のイメージがあるけど、確かにSF的な構成を持つホラー小説も多いよなあ、と...
嚙みあわない会話と、ある過去について【辻村深月】
- 2023/07/11
- 19:44
辻村深月の嚙みあわない会話と、ある過去についてを読みました。一言でいうと怖い物語でした。幽霊も殺人者も出てきませんが、背筋がぞっとする短編が4編収録されています。過去、自分のほうが優位な立場にいて見下していた人が成功して立場が逆転します。そしてその人から過去に自分がうけたいじめの仕打ちを糾弾され逆襲されます。しかし、登場人物にはそのような自覚はなくただうろたえるばかりです。辻村深月はこんな怖い物語...
魂手形【宮部みゆき】
- 2023/07/10
- 18:45
宮部みゆきの魂手形を読みました。三島屋変調百物語七之続でした。そうかこのシリーズももう7冊目なんですね。今回は3つの物語が語られます。それぞれ怖く面白い物語でしたが、konnokは火焔太鼓の物語が気に入りました。山間の城にある火消しの太鼓の物語でした。火消しの太鼓は実は火山に棲む火の神様の妖力で作られていたのでした。この太鼓を盗もうとした盗賊と城の衛士たちの間で戦いが起こり、語り手の兄は深手を負ってしま...
この世の春【宮部みゆき】
- 2023/06/17
- 20:26
宮部みゆきのこの世の春を読みました。江戸時代の北見藩の若い藩主北見重興は複数の人格が交互に現れる心の病にかかっていました。江戸城で他の人格が現れたら北見藩は命運が尽きるということで、家臣たちは重興を押込めて北見一門から別の藩主を出すこととします。重興は藩内でも美しい場所五香苑に座敷牢をつくりそこに逗留することとなりました。各務多紀は婚家の姑からのいじめに耐えかねて実家に帰ってきて作事方の父親の手伝...
家族シアター【辻村深月】
- 2023/06/04
- 07:57
辻村深月の家族シアターを読みました。姉と妹、祖父と孫娘など家族の関わりを題材にした短編集でした。血の繋がりはあるのになぜか反発してしまう家族が最後にはわかりあえるというストーリーでした。家族それぞれで考えは違うので反発してしまうことも多いけど、でもやはり身近に一緒に暮らしている家族だからこそわかりあえるという主張はあたたかく読みました。...
椿宿の辺りに【梨木香歩】
- 2023/04/30
- 10:51
梨木香歩の椿宿の辺りにを読みました。主人公の佐田山幸彦(通称山彦)は化粧品を開発する会社の会社員です。最近、原因不明の痛みに悩まされています。彼の従姉妹の海幸比子(通称海子)もまた原因不明の痛みに悩まされています。海子が通っている仮縫鍼灸院の治療師の亀シの提案で山彦は彼らの祖父の実家のある椿宿に行ってみることになります。なぜ彼らはそのような神話に関連するような名前をつけられることになったのか、祖父の実...
サクラ咲く
- 2023/04/03
- 07:19
辻村深月のサクラ咲くを読みました。中学生や高校生たちの青春物語3編が収録されています。表題作のサクラ咲くは本好きの少女、塚原マチが主人公です。図書館で本を借りて読んでいたマチは本の中にサクラチルと書かれたしおりが挟まれていることに気づきます。これをきっかけに見えない相手とのしおり交換日記が始まってしまいます。一体相手はどんな人なのか、クラスの中の日常の描写とともに物語が語られます。周りを気にしてな...
傲慢と善良【辻村深月】
- 2023/03/06
- 16:38
辻村深月の傲慢と善良を読みました。ジェイン・オースティンの高慢と偏見をもじった題名のとおり、結婚をテーマにした小説でした。主人公の架と真実は婚活の後に婚約をして結婚式場を予約している仲ですが、ある日ストーカーに追われているという電話連絡を架にした後、真実は失踪してしまいます。ストーカーにさらわれてしまったのか、それとも他になにか理由があるのか、架は真実を探すために奔走します。架が真実の両親や姉、以...
麦本三歩の好きなもの 第二集【住野よる】
- 2023/02/20
- 18:46
住野よるの麦本三歩の好きなもの 第二集を読みました。麦本三歩の好きなもの 第一集の続編でした。ちょっと変わった20代女子、麦本三歩の日常を描いた短編集でした。勤務している図書館では先輩たちに叱られてばかり、他人と会話するときは自分の言葉で引かれてしまうんじゃないかと心配する、そんなヘタレな女の子。今作では三歩の二卵性双生児の弟くんが登場するけど、三歩とは正反対でしっかりもの。三歩が二人いたら世の中大変...
さよならの儀式【宮部みゆき】
- 2023/01/07
- 18:04
宮部みゆきのさよならの儀式を読みました。宮部みゆきのSF短編集でした。8編の短編が収録されていますが、最初の6編はあまりピンときませんでした。海神の裔と保安官の明日は面白く読みましたが。宮部みゆきはSF短編は不得意なんだろうか、と思ったのでした。...
「十二国記」30周年記念ガイドブック
- 2022/10/04
- 11:43
新潮社編の「十二国記」30周年記念ガイドブックを読みました。現在まで刊行されている十二国記シリーズのあらすじ、登場人物の解説、物語年表、小野不由美インタビューなどがもりだくさんのファンブックでした。konnokは物語は楽しむけど、あまり設定は覚えていなかったりするので、このようなガイドブックは楽しく読んでいます。あらためて半獣の楽俊が魅力的だと思いました。...
我々は、みな孤独である【貴志祐介】
- 2022/10/03
- 14:24
貴志祐介の我々は、みな孤独であるを読みました。ちいさな探偵事務所を経営する茶畑は、クライアントの正木から自分の前世で自分を殺害した犯人を探してほしいという奇妙な依頼を受けます。そこに小学生の同級生でサイコパスの暴力団組長の丹野やヒスパニック系のマフィアが絡んできて物語は暴力的な様相を呈してきます。輪廻転生をからませた物語の真相はどこにあるのか、クトゥルフ的な結末になるのかな、と読んでいきました。フ...
丘の上の賢人【原田マハ】
- 2022/09/29
- 10:52
原田マハの丘の上の賢人を読みました。旅屋おかえりの続編でした。今回は丘えりかは北海道の小樽と札幌を旅します。今回の物語にはひねりがほとんどなかったのが残念です。...
沈黙のパレード【東野圭吾】
- 2022/09/25
- 08:23
東野圭吾の沈黙のパレードを読みました。天才物理学者湯川が登場するガリレオシリーズのミステリーでした。菊川市で少女が行方不明になり、状況証拠から容疑者蓮沼寛一が逮捕されますが、証拠不十分で釈放されてしまいます。少女の父親の親友を中心に、蓮沼を脅迫して真相を聞き出そうとする企てが菊川市の名物の仮装パレードを舞台に進行します。そして事件は思わぬ方向に展開していきます。複雑な事件の真相を解明するための湯川...